2019年11月18日

最後から2番目の恋(13)

夜の静かな校舎に着信音が突然響いて、ビクッとした。

いつも何かに怯えていたのかもしれない。


「Kです」

「うん」

「メールの返事がないので電話しちゃった、、、」

「ごめん」

「、、、」

「、、、ごめん」

「何が?」

「もう逢えないよ」

「なんで?」

「私が君を想うことで多くの人を苦しめている」

「私はこんなに幸せなのに?」

「でも、君を泣かせている」

「もう泣かないよ、、、」

「、、、」

「、、、」

「いや、、、」

「ん?」

「本当は、、、家庭を壊したくないというのが本音なんだ」


彼女を一番苦しめるであろう、しかし彼女が納得せざるを得ないであろう言葉を心の痛みに耐えながらようやく発した。


自分を最低だと思った。

しかし、それしか方法がないと思うことで自らを説得していた。


「そう、、、」

「ああ」


そしてしばらく沈黙が続いたあとで静かに彼女が言った。


「私、無理は言わないって誓ったのにね」

「、、、」

「先生に甘えて無理をさせてきたんだ」

「ちがう、決して君のせいじゃない」

「ご家庭のことを言われたら、、、」

「、、、」

「、、、私は何にも言えない」


私は小刻みに震える手で携帯電話を握りしめて黙っていた。

卑怯にも彼女のその言葉を拠り所にしようとしていたのだから。


優しい言葉を掛けてやりたい。

大好きだと言いたい。

今すぐ逢いに行きたい。

そうした想いのすべてを私が心に留めて、今黙ることで別れが現実味を帯びる、ここが彼女の次の幸せへのスタートになるんだ、という思いで必死に耐えていた。


そして、彼女は潔かった。

自分の言葉を覆さなかった。


この電話がKさんとの最後の会話となった。


その後も決心はいつも揺いでいて心に常に葛藤をかかえた辛い日々が続いたが、桜が満開になる頃にはどうにか心も落ち着いてきていた。

私の最後から2番目の恋はこうして静かに幕を閉じていった。



2年程が過ぎた。

Kさんが結婚したと言う話は耳に届いていた。


連れ合いと久しぶりに映画を見た帰りに商店街を歩いていると、赤ちゃんを抱いた若い女性が近づいてくるのに気付いた。

遠くからでもすぐにKさんだと分かった。


彼女は足取りを緩め、黙っておじぎをして微笑んだ。

声を掛けるのを遠慮しているような彼女に、私もすれ違いざまに心からの笑顔で応えることができた。

連れ合いは気付いていないかのように何も聞かず、何も言わなかった。


大切な宝物を大事そうに抱えるKさんの笑顔は輝いていてとても素敵だった。




(完)




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2019年11月14日

最後から2番目の恋(12)

友人に自宅まで送ってもらい、静まり返った家に入ったときに何とも言えない寂しさ、侘しさをひしひしと感じた。


その日から、迷路に迷い込んだように何をすべきかという答えが出せずに、同じことを心の中で繰り返しながら悶えていた。


今彼女と別れるのは自分にとって死ぬほどの苦しみだ。

でも、別れなくても苦しみは続く。

心は絶対にいつまでも晴れることはないだろう。


離婚をして、家族に辛い思いをさせてKさんと一緒になったとしても、それで彼女を幸せにできる自信もない。

ましてや、家族を更に不幸にしてしまう決断を下す勇気もない。


それならば自分が蒔いた種だ、自分が苦しんで家族の苦しみを少しでも和らげる選択をすべきだ。

でも、別れることはKさんをも苦しめることにもなる。

こんなにも私に愛情を注いでくれている人をこれ以上苦しめることができるのか。


いや、別れることでの苦しみはたぶん一時的なもので、彼女にはその後に別の幸せが待っているはずだ。

同じことを何度も何度も繰り返し考えていた。


本当は、彼女の涙を見たときから答えは出ていたはずであった。

なのに、それを改めて確認するのが辛すぎて、迷路を走り回るのをやめないでいたというのが真実であったと思う。


逢えない悲しさ、逢う辛さ。

その心の苦しみで自らを罰して、自分の罪の大きさを実感しようとしていたのかもしれなかった。

彼女と逢う決断ができずに、メールにも返信ができなくなっていた。


そうして、彼女を見舞ってから1週間余りが過ぎていた。


私の家族に気を使ってメール以外は携帯にさえも電話をしてくることのなかった彼女から、部活終わりを見計らったかのように電話がかかってきた。

部員を送り出して、学校にいるのは職員室の私1人であった。

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2019年11月11日

最後から2番目の恋(11)

限界なんじゃないかなと思っていた。

彼女の生活、私の家庭は私の高まっていくこの想いに引き摺られて、破滅に向かっていると実感できた。


私は愛の名の下に若い彼女を苦しませている。

私はやっとの思いで結婚できた連れ合いと何よりも愛する子どもを不幸に導いている。


けれども、どうしても逢いたかった、好きだという気持ちを抑え切れなかった。


そうして冬を迎えた頃。

晩酌後に明日飲み会なので会う約束を取り付けようと彼女にメールをした。

彼女を不幸にしているという自制心よりも、やはり逢いたい気持ちのほうが先走っていた。


ところが返ってきたメールで彼女が風邪で寝込んでいることを知らされ、心配で居てもたってもいられなくなってしまった。

心配というよりも、明日逢えると思っていたのにそれができなくなるのがいやだったという思いのほうが強かったのかもしれない。


ゆっくりと休養をとることが病気の時には大切だとわかってはいても、どうしても彼女に逢いたいと思った。

そして彼女の寂しさがにじみ出たような文面を目にしたときに、理性を失っていた。


高校の教師をしている友人に電話をして迎えに来てもらい、車を走らせて彼女のアパートに向かったのである。


急用がある、行けば分かるから、迷惑を掛けるような話でもないのでと無理に頼み込んだので、訝る友人を駐車場に待たせる訳にもいかず2人で部屋を訪れた。

車中でも夜の遠出の理由は言い出しにくくて、そして話すと怒って引き返される可能性も考えて訳は話していなかった。


彼女にはメールで事情を説明していて、逢えるならそれだけでうれしいと返してくれていた。


私がカギをあけて部屋に入り、ベッドに寝ているKさんを見て友人は驚いた顔を私に向けた。

だが、彼女に対しては不快な顔は見せずに労わってくれた。


熱っぽくて、喉が痛いと弱々しく呟く彼女に、

「喉には七味がいいから、ハンカチでくるんで首に巻いて寝るといいよ」

と変な民間療法のようなことも薦めてくれ、自らそれを実践してくれた。

彼女は力なく微笑んでお礼を言ってからそれを首に巻いた。


そして、2人でおかゆをつくって食べさせ、料理の途中で友人が買って来てくれた市販の薬を飲ませて寝かせた。

一安心した私はもっと一緒にいたいという思いに後ろ髪を引かれながらも、彼に促されてアパートを出た。


帰りの車に乗るやいなや彼が怒鳴った。

「なにやってんだお前は!」

「すまん、、、」

「あの娘をどうやって幸せにするつもりだ!」

「、、、」

「家庭を!Mさんを!子どものことを考えろ!」

「、、、」


気まずい雰囲気の中、怒りをこめたように車のスピードが上がり、カーブで軋むタイヤの音を聴きながら、彼女との別れをぼんやりと考えはじめていた。

彼が叱ってくれたことで目が覚めたのかもしれなかった。

誰かにそうして欲しいと、実は心の奥底で願っていたのかもしれなかった。


友人まで巻き込んでしまった自分の浅はかさにも愛想が尽きたような思いもあった。

posted by orino at 08:50 | Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月05日

最後から2番目の恋(10)

季節は秋に向かっていた。


いつものように飲み会をすぐに抜け出して彼女と待ち合わせてホテルで時間を過ごした。

彼女は急な連絡にも必ず車を飛ばしてやってきてくれた。


その帰り道で車を止めて彼女が言った。

「ねえ、まだ時間いい?」

「いいよ」

「もう少し一緒に、、、」

そこで言葉が途切れ、彼女の頬を涙が伝った。


「どうしたの?」

助手席から右手を伸ばして彼女の頬を指で拭った。

「ごめんなさい、、、こんなはずじゃなかったのに、、、」

「、、、」

「会う度にさよならするのが辛くなって、、、」

「、、、」

「ごめんなさい、わかっているはずなのに、、、」

「、、、」


私は彼女を右肩に引き寄せて黙って聞いているしか仕方がなかった。

彼女の苦しみがわかる気がして、そしてそれがどうしようもないことも解っている気がしていた。

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2019年10月28日

最後から2番目の恋(9)

我を忘れるとはこういうことだろう。


車で1時間半かかる距離に転居した彼女のアパートに夜中に向かったり、私の飲み会のときは彼女が車を飛ばして来てくれ、二次会に行かずに短い夜を一緒に過ごしたりした。

隣の県の公園でデートしたときには、真昼間から人前で肩を抱き合ってキスをした。


「キスしたい」

「すればいいのに」

「人がいるよ」

「でも誰も私たちのこと知らないと思うよ」


そんな会話が不自然に感じられないくらい、漫画の中にでもいるように私はこの10数年ぶりの恋に酔っていた。


部活終わりに車を飛ばして夜中1時間程の逢瀬を楽しみ、練習試合のない休日は半日で県外に出かけたりしてこの危険な愛を育んでいた。


連れ合いはやはり何かを感づいているらしく無口になっていき、家庭は殺伐とした状態になっていた。

それでもKさんに激しく恋をしていた私は行動にブレーキをかけられなかった。


夏前、テスト期間で部活が休みの休日に2人で海に行った。


岬の藪の中に獣道のような小道が続いていて、小さな木々を掴んで支えにしながら下っていくと小さな砂浜に辿り着いた。

誰もいない即席のプライベートビーチである。


気兼ねなく会話ができ、はしゃいでじゃれあって楽しい時間を過ごすことができた。


「帰ろうか」

「じゃあ、ジャンケンして負けた方がおんぶして砂浜を歩こうよ」

たわいもない彼女の提案にすぐに乗っかって、ジャンケンは私が負けてしまった。


「やったね!」

背中に飛び乗った彼女がはしゃいでいたのは少しの時間だけだった。


首に回した彼女の両腕に力がこめられた。

私の背中にうずめた彼女の顔が小刻みに揺れる。


「なんで泣くの?」

「泣いてないよ」

その声は震えていて聞き取れないくらいに小さかった。

私はそれ以上何も聞かずに黙って砂浜を歩いていった。


その日から彼女が流す涙をよく目にするようになっていった。

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2019年10月21日

最後から2番目の恋(8)

「夢のようってよく言うけど、こんな夢みたいな展開が待っているなんて神様でさえ知らなかったはずですよね」

再び私の左肩に頭を寄せて彼女が言う。

「ああ、本当に」

心が落ち着いてきた私も穏やかに答える。

「また会えますか?」

「もちろん」

「奥様のいることを知った上で私が勝手に好きになったんだから、絶対に無理は言いません」

私は心がチクリとして、また少し黙ってしまった。

でも左腕越しに伝わってくる彼女の温もりがそんな痛みをやんわりと覆い隠してくれた。

「妻がいながら恋してしまった私のほうこそ君に無理は言えないよ」

「じゃあ、引越し先が決まったらメールしていいですか」

「ああ、待ってる」


永遠にこの時が続いてほしいと思い、何気なく腕時計を眺めた私につられて彼女も携帯電話で時間を確かめた。

「えっ、もうこんな時間なんだ、先生ごめんなさい部活ありますよね」

午前3時過ぎになっているのに気づいた彼女があわてたように言って体を離した。

「そうだね、君も寝なきゃね」

と、私の言葉を合図に2人とも立ち上がった。


私は彼女の腕を引き寄せて小柄な体を力をこめて抱きしめた。

時が止まればいいのに、心からそう思った。

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2019年10月15日

最後から2番目の恋(7)

私は幸福感に包まれながらも、驚きで言葉の整理ができずにただ黙って聞いていた。


「どうしても一度2人きりでお話がしたくて、でもずっと避けられているような気がしてたので話しかけられなくて」

「、、、」

「諦めていたはずなのに、先生とお話しできる機会は今日が最後かもしれないと思うといてもたってもいられなくなって、ラストチャンスにかけてみたんです。」

「、、、」

「送ってくれると言うT先生(テニス部顧問)には失礼だとは思いながらわがままを言ったんです『危ない、危ない、独身の先生は狼になりかねないなあ』って、冗談めかして笑いながらですよ」

「、、、」

「独身と言う言葉に力をこめた私の淡い期待にT先生がのっかってY先生に声をかけてくれたときは心の中で必死に祈ってました、私を避けないでって」

「避けるなんて、、、、」

私はやっとの思いでつぶやいた。


彼女の瞳に浮かんだ涙がひとすじスーっと赤く火照った左の頬を流れていった。

私はこらえきれなくなって彼女の頭を引き寄せて両手で胸に抱きかかえてから心の中から搾り出すように言った。

「大好きなんだ君のことが、、、」


それから再び長い長いキスを交わした。

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2019年10月10日

最後から2番目の恋(6)


彼女は照れ隠しをしているかのように多弁になり、肩を寄せたままの状態で話を続けた。


「覚えてますか?」

「ん?」

「旅行の前に先生に相談したこと」

「ああ」

「私、先生に一緒に行こうって言ってほしかったんです」

「、、、」

「先生が行くのかどうかも確認したくて、、、」

「、、、」

「先生が行くならぜひ行きたいなって」

「、、、」

「でも冷たくあっさりと振られた感じで、、、」

「そんなんじゃないよ」

「それからはずっと避けられているようで悲しかったです」

「、、、」

「回りくどい言い方をせずに、先生は旅行に行かれますかって聞けばよかったなって、ずっと後悔してました、あの時からついさっきまでずっと」

「、、、」


彼女の話は私にとって衝撃であって、黙っていることで気持ちを整理しようとしていた。


なんということだろう、私が想い続けていた彼女が私に想いを打ち明けてくれているというのか!?


キスを交わしたという事実がなにかふわふわとしたとりとめのないものから、彼女の言葉によって現実味を少しずつ帯びてきて実感となり私を柔らかく包むような感じがしていた。


そこで彼女は一息入れて私の肩からゆっくりと頭を上げて、小首を傾げたようにして潤んだ瞳で私を見つめながら話を続けた。

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2019年10月07日

最後から2番目の恋(5)

二次会のスナックから15分ほど歩いたところにKさんの借りているアパートはあった。

もう1人のHさんは遠いので、タクシーがみつかるところまでみんなでわいわいと連れ立って別方向に向かったので急に2人に静寂が訪れた。


Kさんが話の糸口を提供してくれ、当たり障りのない話をしながら人通りのない真夜中の道を2人で歩いた。

この1年間を振り返るような何気ない会話を淡々と交わすだけで、満たされた気持ちになって幸福感に包まれていった。


でも、アパートまでの15分はあっという間だった。

Kさんの部屋のある2回に続く階段まで来て勇気を振り絞って言った。

「部屋まで行っていい?」

「だめですよ。引越しの準備で散らかってるから」

「そうか、そうだよな」

「うん」


そう答えながらKさんはその階段の右側に黙って腰を下ろし、私を見て微笑んだ。

私もその横に座った。


彼女のその行動に勇気を貰った私は、お酒に酔った勢いも借りて左腕を伸ばして彼女の左肩をつかんで引き寄せた。

何の抵抗もなく、ゆらりと彼女の頭が私の左肩に乗ってきた。


一瞬その上に自分の頭を重ねてから、すぐにそのまま彼女の顔を覗き込んで唇を合わせたのは自然な流れであった。

これは夢だろうかとさえ思った長い長いうっとりとする時間が過ぎていった。


自然な時間の流れに身を任せながらも、何が起こっているのかが理解できない不思議な感覚に囚われていた。


「私、Y先生に嫌われていると思っていました」

長い沈黙を破って彼女がそう呟いた。

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2019年10月03日

最後から2番目の恋(4)

3学期の修了式の後、年度のシメの飲み会が行われました。

この日までは、この恋は私の胸のうちだけで完結するはずでした。

誰にも告げることなく1人で悶えながらも、どうにもならないことが解っていて、彼女の異動をきっかけに更にどうしようもない状況がやってきて、諦めることでしか完結しないはずの恋だったのです。


会の途中で若いソフトテニス部の顧問が来て言いました。

「Y先生、この後の2次会来れますよね」

飲み会のあとは部活顧問を中心によくそうしていたので当然来ますよね、という確認です。

「ああ、いいよ」

「kとHの2人も誘ってるんで」

「ん、あ、そう」


複雑な心境だった。

(Kさんも、か、、、)

寿命が延びたような気もしたが、ただ単に苦しむ時間が長引くだけのようなしんどさも感じた。


けれども、淡い期待や悲しみさえ覚えるような不安な気持ちなど当然誰にも構って貰えることもなく、独身の若い者中心に賑やかに淡々と二次会も過ぎていった。

さびしい気持ちが増しただけの飲み会となった。


来ないほうが良かったな、とボックス席で最後のお酒をあおってから私は最後に腰を上げた。

男性から集めたお金で会計を済ませた集団が店を出ようとしたときに、音頭とりのテニス部顧問が離れた場所で帰り支度の私に声をかけてきた。


「Y先せーい!ご指名ですよー僕ふられました!」

「ん?」

「Kを送っていってあげてください。ここはやはり妻帯者のほうが安心のようです」


ドキッとして、改めて言葉の意味を確認していた。

声のほうを向くと、彼のとなりではにかんだような表情を浮かべてぺこりと頭を下げるKさんがいた。

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2019年10月01日

最後から2番目の恋(3)

結局2人は旅行に参加しませんでした。

山陰でおいしいカニを食べて大いに飲んで、楽しいはずの旅なのに何とも言えないわびしさを感じるのです。

そこで、やっぱり自分も2人に参加してほしかったんだなと気付かされたのです。

Kさんに対して感じたイライラも、俺は一緒に行きたいのになんでそんなに嫌がるんだよ、といった自分勝手な思いも含まれていたのかもしれないなと、あの時の自分を振り返っていました。


そうして、旅行から帰った後はKさんのことがいっそう気になりだしたのです。

換気扇の掃除をしていて洗浄液が顔にかかってしまっただの、カーテンを交換していて台から転げ落ちてしまっただのといった失敗談を快活に語る彼女の声や動きの後をついつい追っているのに気付いてあせる自分がいました。

まさか15歳も年下の女の子を好きになったのか?というあせりです。


そう思えば思うほど彼女に対してなるべく淡々と接するように意識してしまうのです。

確信の持てないモヤモヤとした思いを打ち消したいと言う思いだったのだと思います。

だから、彼女と2人きりで話すような機会はほとんどなく時間は過ぎていき、そうやって、1年での異動が決まっている2人の新人研修はあっという間に終わりを迎えました。


その頃には、私ははっきりとした恋心に気付かされて、苦しい胸のうちを彼女に打ち明けたいという衝動と打ち明けても何も起こらないだろうと予想できる絶望感、そして連れ合いに対する背徳感などに苛まれながら苦しんでいました。

posted by orino at 16:46 | Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月24日

最後から2番目の恋(2)


「すみません!ちょっといいですか」

「おう、なに?」

「慰安旅行のことなんですけど、、、」

「うん」

「私たちのために計画してくださったということを聞いて、行くべきだなと思うのですが、あのぉ、用事というか、、、」

「、、、」

「まあ、たいした用事ではないんですけど、、、」

「行きたくないのを無理していくことないよ」

「えっ」

「行きたくないんでしょ、行かなきゃいいじゃん」

「えっ、でも、、、」

「行きたくなければ行かなきゃいい、それだけのことだよ」


ちょっと突き放したような口調になっていた。

ぐずぐず煮え切らない態度がイヤだった。

最近の彼女たち、そして今の彼女も。


「、、、」

「じゃ、部活あるから」

「、、、」


何故かイライラしている自分を訝しく感じていました。

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2019年09月20日

最後から2番目の恋

別れても好きな人の最終章です。



惚れぬいた人と結婚ができ、なんの不満もない日常が10年以上経過したときに、恋をしてしまいました。

自分でも予想もしていなかったことでもあり、戸惑うばかりでした。

Mさんとが最後の恋だと信じ切っていた自分には思いもよらないことだったのです。


前回書いたNさんとのことは恋というよりは、ひどい話ですがやっぱり浮気と言ったほうがしっくりとくる、遊びの感覚が強かったように思います。



それは、4校目の赴任地で部活動に心血を注いでいたときの話です。

その2年目に新規採用の女性2人が赴任してきました。


1人は臨時教員を数年務めた英語担当で、もう1人は新卒の家庭科担当です。

その家庭科担当のKさんは、小柄でなんともしぐさが可愛くてついつい彼女の方に目を向けてしまうような魅力的な子でした。


ところが、管理職が女性ということで同性である2人を早く1人前に育てようという親心からなのか、なにかと厳しく指導されて落ち込む2人の姿をよく目にするようになっていったのです。


そうした中で、冬休み前に職場での旅行が計画されました。

前年はなかったことですが、管理職が2人の新人さんの慰労にと計画した旅行だったようなのですが、肝心の2人は参加を渋っているようでした。

独身男性たちがしきりに誘っていたのですが、なにかと理由をつけて難しいというようなことを言っているようなのです。


厳しい管理職とちやほやする若い男性教師たちのどちらに対しても彼女たちは居づらさを感じているようで、それは普段の職員室内での雰囲気からも感じ取れるものでした。


そんなある日の放課後、体育館に向かう渡り廊下で後ろから追いかけてきたKさんに呼び止められました。



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2019年09月11日

別れても好きな人 8-5

当時の部活は保護者とよくお酒を飲んでいました。

何かにかこつけて「今晩どうですか?」と杯を口にする動作でよく誘われ、お酒好きの私はよっぽどのことがない限り「いいですねぇ!」と応えます。


そして飲んでいない保護者がよく送ってくれるのですが、その時はキャプテンの家で2次会をやることになって、全員がアルコールを口にしてしまったので、連れ合い(Mさん)を迎えに呼ぶことになりました。


寝ているまだ小さな長男を抱いて玄関に現れた連れ合いに対して、私を送り出しながらキャプテンの母親が言います。


「まあ、奥さんすみませんねぇこんな遅くに。」

「いえいえ、いつもご迷惑をおかけして申し訳ありません。」

「×市からだと結構遠いのでお子さん連れで大変ですよね。」

「???んっ、あ、はい、、、」

「お家までは伺ったことはないのですが、あの目立つアパートがある辺りですよね?」

「???あ、はい、、、」


やばい!と酔った頭の中で叫んでいました。

帰宅が極端に遅くなったときの彼女のいぶかしむような表情が思い出され、冷や汗が出ました。


「気をつけてお帰りくださいね。」

「はい、ありがとうございます。」


帰りの車の中は沈黙が続きました。

長男を抱いて、寝ている振りをしながらあれこれと言い訳を考えていたのですが、下手に動かないほうが得策だと思ってだんまりを決め込むことにした。


彼女はその後も、そのことに対して何も言わなかったのですが、あきらかに私に対する態度は冷たくなってしまいました。

自業自得です。


最愛の人にそういう態度をとらせてしまう自分を大いに反省し、Nさんに連絡をして、もう行くことはないということを告げました。


彼女の啜り泣きが続く受話器をだまったまま長い時間握りしめて、本当に馬鹿だなと自己嫌悪に陥った公衆電話は、今はもうありません。

posted by orino at 10:20 | Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月10日

源氏物語

108円の棚ではなかなか全巻揃っているのは見かけなかったこの文庫本ですが、先日見つけて仕入れました。

すぐに売れてくれたので報告します。


源氏物語 文庫 全10巻 完結セット (講談社文庫) 瀬戸内 寂聴,紫式部


この源氏物語関係の本は結構仕入れ対象になるものが多いので覚えておくといいと思います。

例えば、コミックの源氏物語(江川達也) コミック 1-7巻セット (YJC-UJ愛蔵版)あさきゆめみし コミック 全13巻完結あさきゆめみし 文庫版 コミックセット (講談社漫画文庫) など。

CDでは源氏物語(細野晴臣)なども売ったことがあります。


ブックオフでチェックしてみてください。


私が売った文庫本セットのリストを販売中です。
「せどり:文庫本セットリスト」

posted by orino at 10:32 | Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする